Dormitory Life

ドミトリー・ライフ

国際学生寮を見に行く(1)

2024年10月17日(木)

早稲田大学 国際学生寮(WISH)

さまざなま大学の国際学生寮を見学に行く「ドミトリー・スタディーズ」プログラム。これは、大学の基金(未来先導基金)から補助を受けて、教員、職員、そしてウチの学生寮(Hヴィレッジ)に暮らす学生たちとともにすすめるものだ。7月に採択が決まり、いよいよ動きはじめた。

かつては三田の丘に400人規模の寄宿舎があったが、いま、キャンパスのなかにあるのはΗヴィレッジだけだ。入寮がはじまって2年目、寮での暮らしかた、「寮風」のようなものは、少しずつつくられてゆく性質のものだと思うが、他大学の学生寮を訪ねて話を聞き、寮生たちと出会い、国際学生寮のありようについて学んでいこうというプロジェクトだ。
このプロジェクトの面白いところは、立場のちがう「みんな(学生、職員、教員)」で一緒に、全国の学生寮をめぐるという点だ。「みんな」のなかでも、いまHヴィレッジに暮らす学生たちが主役だといってもいい。もちろん、教職員が運用や管理について他大学の事例を知ることは大事だが、学生たちこそが、いろいろな寮生活の現場を実際に見て、じぶんたちの暮らしのヒントをえること。なにより、大学をこえて「寮生どうし」の交歓・交流のきっかけになればいい。そう思って企画したプロジェクトである。


これがWISH(Waseda International Student House)

そして、最初の視察は2014年3月に開設された、早稲田大学の「国際学生寮(WISH)」へ。中野駅から歩いて10分程度。定員872人という大きな建物だった。WISHは、4人ユニット。個室と共用のリビングルーム。洗面台はユニットのなかにあるが、トイレやシャワー、ランドリー、コミュニティキッチンは共用部(ユニットの外)にある。

左:ユニット内の個室 右:コミュニティキッチンにちいさなアイロンコーナーがあった。

これまでにもいくつかの学生寮を見学する機会があったが、ひと言で、面白い。寮の設えは、寮での生活をどのように理解しているかを表しているからだ。学生たちのふるまい、教育的なねらい、生活のありかた、多文化の共生への配慮など、学業と生活を一体的に考えて、それが寮という「形」になっている。サイネージや配色などに、他者と暮らすときの考えかたが映る。「管理」を考えるとルールが必要になる。「生活」するとルールは窮屈なものに感じられることもある。
実際に暮らす学生たちは、寮としてつくられた「形」と日々接しながら、創意くふうを試みる。より自然に、より快適に暮らすことができるようにさまざまな改変・改善(もちろん、できることとできないことがあるが)をくわえてゆく。その過程は、教室では実現しえない学びの機会になる。それは、コミュニケーションからはじまるのだと思う。


2Fのエレベーターのところにライブラリーがあった。ライブラリーはいいね。


もはや「おなじ釜の飯」ではなくて「私だけの釜の飯」なのか。一人ひとつの炊飯器?が並ぶ。なかには一升炊きのもあった!

多くの寮では、レジデンス・アシスタント(RA)として学生寮に暮らす学生たちがいる。同じ呼称でも、大学によってその役割や責務はちがう。いわゆる「ジョブ・ディスクリプション」(職務記述書)が細やかに記されている場合もあれば、もっとゆるやかなこともある。ウチの寮は、ハウス・リーダー(HL)、ユニット・リーダー(UL)、レジデンス・アシスタント(RA)という3つの役目があって、すでにややこしい。もちろん、そうなっている理由や経緯はあるのだが、そのあたりはわかりやすく整理するのがいいだろう。

見学が終わった頃合いに、WISHのRA数名にもくわわってもらえるよう、事前の調整がおこなわれていた。そこで、ウチの学生たちとともに別室に移動。学生どうしで話す時間をつくった(そのほうが、いろいろ「ぶっちゃけ」でそれぞれのRA事情を話すことができる)。いっぽうで、教員、職員どうしで運用面のこと、トラブル対応のことなどについて意見交換をした。いろいろと似たような課題に向き合っていることはたしかだ。全体の方針は決まっていても、一つひとつの「事件」は個別的に扱わなければならない。ルールを厳格につくりすぎると、じぶんでつくったルールに縛られることもある。だから、ある程度の「ゆるさ」を備えたルールをつくっておくのがいい。そのあんばいが、とても難しい。

ちがう大学のちがう寮でありながら、国際学生寮の現場に接しているどうし、話は尽きない感じだった。これを機に、またこういう機会をつくれればと思う。予定していた(いただいていた)時間を1時間近く過ぎて、ミーティングが終わった。別室で話していた学生たちも、かなり盛り上がったみたいで、もう少し話していたかったようすだった。もちろん、連絡先などは交換しているはずなので、今後はさらに別の大学の寮生たちとも知り合いながら、つながりを広げていければいい。

今回を皮切りに、いくつもの視察が計画されている。別途、経過などは報告書としてまとめていく予定だが、ひとまず無事に最初の視察を終えた記録として、記しておく。